薬学部の渡辺賢二教授、佐藤道大准教授のグループは、多くの生物が持つ飽和脂肪鎖の生成において新しい生合成メカニズムを見出し報告しました。本成果は、化学分野において最も権威のある国際化学雑誌『Journal of the American Chemical Society』(Impact Factor: 14.5) 電子版に3月20日付けで掲載されました。
生物が持つ脂肪鎖の還元機構の多くは、脂肪酸生合成酵素によりカルボニル基の還元に始まり脱水、再度の還元により飽和脂肪酸となることが知られています。エリスロマイシンのような抗生物質の生合成でも同様な反応により炭素骨格が構築されていることが知られていました。今回、我々はこういった反応とは異なり還元に始まり、CcdC(アセチル基転移酵素)によるヒドロキシ基のアセチル化が起こり、続いてCcdGによるアセトキシ基の脱離反応により酢酸生成が起こることを突き止めました。さらに、形成されたオレフィンがCcdH(還元酵素)により還元されることで還元型の化合物が生合成されることを示しました。このように相補的な酵素群によって炭素鎖の還元が行われて化合物が生合成されるという経路は、他の抗生物質生合成においては確認されていない経路であります。飽和脂肪鎖の生成を容易な酵素的修飾法で実用化する道が拓かれました。
生物が持つ脂肪鎖の還元機構の多くは、脂肪酸生合成酵素によりカルボニル基の還元に始まり脱水、再度の還元により飽和脂肪酸となることが知られています。エリスロマイシンのような抗生物質の生合成でも同様な反応により炭素骨格が構築されていることが知られていました。今回、我々はこういった反応とは異なり還元に始まり、CcdC(アセチル基転移酵素)によるヒドロキシ基のアセチル化が起こり、続いてCcdGによるアセトキシ基の脱離反応により酢酸生成が起こることを突き止めました。さらに、形成されたオレフィンがCcdH(還元酵素)により還元されることで還元型の化合物が生合成されることを示しました。このように相補的な酵素群によって炭素鎖の還元が行われて化合物が生合成されるという経路は、他の抗生物質生合成においては確認されていない経路であります。飽和脂肪鎖の生成を容易な酵素的修飾法で実用化する道が拓かれました。
<掲載された論文>
Mechanism of Unexpected In-Trans Post-PKS Polyketide Reduction in Cochliodone Biosynthesis
Christopher Sarmales–Murga Michio Sato, Motoki Kosaka, Fumito Akaoka and Kenji Watanabe
関連リンク:American Chemical Society
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.5c03717(外部サイトへリンク)
(2025年3月24日)
Mechanism of Unexpected In-Trans Post-PKS Polyketide Reduction in Cochliodone Biosynthesis
Christopher Sarmales–Murga Michio Sato, Motoki Kosaka, Fumito Akaoka and Kenji Watanabe
関連リンク:American Chemical Society
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.5c03717(外部サイトへリンク)
(2025年3月24日)