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澳门金沙官网_澳门金沙赌城¥博彩平台6年度学位記授与式を行いました


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澳门金沙官网_澳门金沙赌城¥博彩平台学部?短期大学部?大学院学位記授与式

3月19日、静岡市駿河区のグランシップで、学部?大学院?短期大学部の合同学位記授与式を開催しました。
学部卒業生627名、短大部卒業生104名、大学院修士?博士前期課程修了生107名、大学院博士後期課程修了生21名、計859名が学位記を受け新たな道を歩みだしました。
今井康之学長は式辞で自身が研究から得た経験を述べ、失敗をチャンスに変える大切さを卒業生に伝えました。卒業生を代表し、経営情報学部の小倉薫人さんが「4年間の経験を活かして社会へ貢献し、本学の卒業生の一員として社会人としての自覚を持ち、その責務を果たしていきたい」とあいさつをしました。
式典終了後、学部の学位記伝達式に臨むためキャンパスに戻った卒業生たちは、友人や後輩たちと別れを惜しみつつ晴れやかな笑顔で一緒に写真を撮るなどし、再会の約束をしていました。

式典の様子

学位記授与

写真

在学生代表による送辞

卒業生代表による答辞

草薙キャンパスにて

後輩から先輩へ花のプレゼント

学長式辞

学長 今井 康之

本日、鈴木静岡県知事、落合静岡県議会議長をはじめ、ご来賓の方々、ご家族、保証人の皆様のご臨席を賜り、澳门金沙官网_澳门金沙赌城¥博彩平台6年度澳门金沙官网_澳门金沙赌城¥博彩平台学部?短期大学部および大学院の学位記授与式を挙行できますことは真に喜ばしく、関係者一同、心より御礼申しあげます。

まず、澳门金沙官网_澳门金沙赌城¥博彩平台で学業の研鑽を積み、本年度めでたく卒業される5学部の627名の皆さん、短期大学部の104名の皆さん、大学院の128名の皆さんに対し、澳门金沙官网_澳门金沙赌城¥博彩平台の教員、職員、役員を代表して、心よりお祝いを申し上げます。この中には、学部を卒業する14名の留学生、大学院を修了する11名の留学生の皆さんも含まれています。

ご家族の皆様方のご支援、ご理解につきましても、心から感謝申し上げます。

さて、本日卒業される皆さんのなかには、澳门金沙官网_澳门金沙赌城¥博彩平台感染症の世界流行によって、影響を受けた方々も多いと思います。2020年3月に本格的に感染拡大が始まり、本学では、2020年4月から遠隔授業が実施されました。2021年8月には、教員/職員の協力のもと、大学内でワクチンの職域接種が行なわれました。2023年4月に、感染症法の位置づけが5類になったことに伴い、ようやく対面授業が再開され、ここ2年は学園祭やクラブ活動も再び活発におこなわれるようになり、大学本来の姿が戻って来たと感じられます。

遠隔授業の経験は、人それぞれで違った感想を持っていると思いますが、教員側の準備が大変だったことには間違いありません。また、対面授業が再開され、直接人と会って話をしたり、議論したりできる機会の重要性を実感した方も多いと思います。

さて、遠隔授業が実施できたのは、インターネットが整備され、デジタル化が進んだおかげでもあります。デジタルへの全面的な依存が正しいかどうかについては、議論のあるところだとは思います。ただ、デジタル化の実現は、多くの人々が様々な立場から活動した結果であることは確かです。デジタル化の推進力となった新興企業の聖地の一つ、アメリカカリフォルニア州のシリコンバレーには、いくつかの格言があります。
 
その一つに、「失敗を無意味なものと考えないこと」という格言があります。卒業式で、失敗の話をするのもどうかと思われるかも知れませんが、本日は、この格言の意味を考えてみたいと思います。

自分自身のことになりますが、私は免疫学の領域で実験研究を行なっていました。実験には失敗がつきものです。小さな失敗については、いわゆるPDCAサイクルで対応できます。ただ、もう少し大きめの失敗に対しては、柔軟な発想が必要です。

そのような失敗には、2種類あると思っています。一つは、「すがすがしい失敗」で、もう一つが「イライラする失敗」です。

まず、すがすがしい失敗についてですが、私はあるタンパク質が結合する相手方のタンパク質の性質を証明しようと、実験をしていました。相手方のタンパク質にあることが推定される硫酸基を放射性同位元素で標識しておいて、そのタンパク質に硫酸基をはずす働きのある酵素を作用させると、タンパク質から硫酸基がはずれるかどうかを、放射活性の減少で観察しようと計画しました。酵素を作用させた後、タンパク質を沈澱させるために広く用いられている方法でタンパク質を沈澱させ、硫酸基がタンパク質からはずれたかどうか、つまりタンパク質からの放射活性が減るかどうかを見ようとしていました。
 
ところが、酵素を入れようと入れまいと、沈澱物の放射活性が「0」でした。これは、完全な実験の失敗です。
 
気を取り直して、もしかすると相手となるタンパク質が普通ではなく、多くのタンパク質が沈澱する条件では沈澱しないのではないかと考えました。だとすると、目的とするタンパク質の溶液から、夾雑タンパク質をほとんど取り除くことができるのではないかと思い至りました。この考えのもと、相手となるタンパク質を精製して、アミノ酸部分配列を特定し、遺伝子クローニングにつなげることが出来ました。このような失敗は、まさに「清々しい失敗」です。失敗には、大きな知的財産が潜んでいるのです。
 
一方、いつもうまく行くとは限りません。かなり以前のことですが、免疫細胞をがん化させることなく、長い間働きを保って培養することが試みられており、広く成功例が報告されていました。自分の実験系で、そのような細胞を作成し、免疫への調節作用を検出しようとしていました。長く培養できるので、実験科学で重要な再現性を担保できるものと、期待していました。培養の初期では、免疫の調節作用をはっきりと見ることができました。ところが、ある程度培養を続けていると、細胞がいじけて形がかわり、調節作用を示さなくなりました。さらに悪いことに、細胞が全く増えず、最終的には死んでいるようでした。何度実験を行なっても、この状況はかわらず、1年程度の時間を無駄にしたと思います。まさに、イライラした状況です。

今から考えると、そのような細胞を長期培養することはできず、いわゆるプログラム細胞死に陥っていたものと思います。そのころは、プログラム細胞死について、よく知られていませんでした。細胞がいじける理由を深く考察すれば、プログラム細胞死の研究に発展していったのかも知れません。

ところで、ここまでの話は、単なる個人的な思い出話に過ぎませんが、実は、そうとも言ってはいられない世の中の情勢になっています。昨年ノーベル化学賞を受賞したデビット?ベイカー博士の研究内容は、ある機能を持ったタンパク質をコンピュータでデザインするという内容です。つまり、タンパク質の働きから出発し、アミノ酸配列というデジタル情報に直接つなげてデザインする内容です。基本的には、人工知能による機械学習を行なうわけですが、いくつかの基本的な問題があって、コンピュータ?デザインの結果つくられたタンパク質の多くがうまく働かない現状のようです。一方、「うまく機能しない」という失敗の内容では論文にはならないし、特許にもならないので、失敗例が公共のデータとして活用できない状況です。もちろん、一部の大企業は、企業秘密として失敗データを保持しています。

「失敗」という知的財産のありかたについては、今後の大きな課題ですが、失敗に対する向き合い方によって、その後の展開が違ってくることは確かです。卒業生の皆さんも、失敗したときに、「もしかするとこれはチャンスかもしれない」と、「失敗を無意味なものとは考えない」というシリコンバレーの格言を思い出してください。

本日は、ご卒業、誠におめでとうございました。



(2025年3月19日)

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